あとぶろ

趣味の感想や思い出を残していきたい(ゲーム・アニメ・漫画が主体)※色々ネタバレ要注意

【紹介/感想】Fate/Samurai Remnant(記事後半にネタバレあり)

ずいぶん久しぶりにFate作品に触れたような気がします。

2023年9月28日に発売されたばかりのアクションゲームであり、Fateシリーズの最新作Fate/Samurai Remnant」

プラットフォームはPS4/PS5/switch/Steam。

エンディングを全て見終えた上での感想とついでに簡単な紹介記事となります。

プレイ時間は50時間ほど。

 

タイトルにもある通り記事後半では物語の重大なネタバレを含む記事としますが、該当項目前には注釈を入れますので、そこまでは基本的に物語やゲーム進行で解禁される要素については深く触れないようにします。

 

 

目次

①はじめに

②物語のあらすじとキャラクター

③ゲーム要素

④シナリオ感想(ネタバレあり)

⑤まとめ(ネタバレあり)

 

 

 

①はじめに

まず本作はかのFateシリーズを題材として、コーエーテクモゲームス(以下コエテク)シブサワ・コウブランドが開発に携わっているアクションゲームとなります。

ゲーム会社に多少の知見がある方にとって、コエテクのアクションゲームと聞くと無双シリーズが浮かぶ方が多いとは思いますが、シブサワ・コウブランドとしてはそちらではなく、仁王シリーズが該当します。

まぁ本作には無双シリーズに携わるω-Forceチームも関わっているため、どちらが主体かってとこは不明ですが。

 

ちなみに我らがファイアーエムブレムシリーズの名作ファイアーエムブレム風花雪月」の開発に携わっているのも、このシブサワ・コウブランドとなります。

そして本作「Fate/Samurai Remnant」のシナリオを紡いでいるのがまさにその風花雪月のシナリオチームだということで、公式サイトにインタビューページが掲載されています。

www.gamecity.ne.jp

じゃあやらないわけにはいかないよなぁ!?

ってことで久しぶりにFateシリーズに触れました。

 

というのも私はFateシリーズにはだいぶニワカなオタクで、原作ゲームは未プレイで、FGOもガチャだけ回してアンインストールしてる人間です。

アニメも最後まで見たのは多分stay nightとUBWだけ(のはず)Apocryphaも見たような気がするけど記憶が怪しい……Zeroはなんか忙しい時期が重なって1期だけしか見ておらず……

Heaven's Feelなんかは性癖ブッ刺さりそうで興味はあるのだけど……。

 

 

そんなニワカでも本作は楽しくプレイできました。

盈月の儀とかサーヴァントとかマスターとか令呪とか、必要な前提知識はちゃんとゲーム内で説明も入るし、用語集もアップデートされるたびに通知が入る親切設計なのもたすかる。

あと本作の舞台はFate原作のような近代では無く江戸時代なので、それに関連した知識も紹介してくれたりする。

なんならこのゲームに必要な知識はFate知識よりも歴史知識かも。(私は歴史も疎いですが。)

 

 

とはいえ原作ファンへのサービス要素も色々あります。

演出に原作やアニメをイメージしたシーンが散りばめられていたり、物語の本筋に大きくは関わらない部分で原作やFGOで登場した英霊が活躍したり。(有名な青タイツの槍の人とか金ぴかの人とか)

 

 

 

②物語のあらすじとキャラクター

本作の舞台は前述の通り江戸時代であり、主人公として据えられているのは二刀流で有名な剣豪「宮本武蔵」……の養子である宮本伊織となります。

戦乱の世は終わりを迎え、養父であり剣術の師でもあった武蔵を亡くしてから、浪人として平和な世を過ごす中で、願いを叶える願望機「盈月」を巡る戦いに巻き込まれ、サーヴァント「セイバー」と出会うところから物語は始まります。

 

突如巻き込まれたこの騒乱において、事情を把握した伊織が戦う理由は主人公らしく「江戸に住む無辜の民が巻き込まれる戦いを終わらせるため」。

サーヴァントとして召喚された師「宮本武蔵」との再会や、他のマスターやサーヴァントとの戦いや共闘、セイバーとの絆等が描かれていく、実に王道、といって良い物語です。

(まぁ本ブログの他の記事読んでくださってる人には、私が王道なだけの作品を好きになる人間じゃないだろってのはバレそうなものですが。)

 

 

と、あらすじとしてはこういった形です。

ただ、正直1週目クリア時点迄ではそこまで自分の中で高評価になる気はしていませんでした。

本作はマルチエンディングであるわけですが、全てのエンディングを迎えて初めて評価できる物語だと思います。

 

 

キャラクターたちはマスターもサーヴァントもいずれもよく立っており、信頼のシナリオチームであることに納得もいきましたが、1週目ではその内面が見えない部分が多く、感情移入がしきれないというのが正直な感想です。

まぁFateという作品が真名や宝具は隠匿されるべき、という世界観なので、主人公以外の陣営について1週目では詳しく語ることができない、という面があるので仕方ないわけではあるのですが。

 

なので、実際にこれからプレイされる方が「エンディングまで行ったけどそんなに刺さらなかったな~」と思ったとしても、とりあえず騙されたと思って2週目に進んでみて頂きたいですね!

 

ドロテア・コイエットさんすき。

 

 

③ゲーム要素

本作は何度か書いている通りアクションゲームです。アクション性としては無双シリーズと仁王シリーズを混ぜた感じ。

Steamでスクショ撮るとキーボード叩いたことで表示ボタンがキー表示になってしまう。実際には無双シリーズでお馴染みの□で弱攻撃、△で強攻撃のあれです。

本作における主な敵の種類は以下5通り。

 1.複数沸く雑兵    (数回斬れば死ぬ)

 2.少数の名前付き人間 (隙を突く必要あり)

 3.複数沸く小型怪異  (人間である主人公では基本怯ませられない)

 4.少数の大型怪異   (小型と同様怯ませられない他、隙を突く必要あり)

 5.サーヴァント    (大型怪異と同様の特徴+強力な技を持つ)

 

上記1については無双シリーズの感覚で蹴散らせるものの、2は少し考えて動く必要があるほか、3以下は攻撃後の隙を突いたり、後述する魔術を使ったり、サーヴァントであるセイバーの力を頼ったりする必要があるため、アクション性としては思いのほかしっかりした作りになっています。(プレイ前は無双系と思って期待度が低かったので嬉しい誤算)

 

難易度も通常難易度である「剣客」でもなかなか手強く、クリアまでにゲームオーバーを迎える場面もそこそこありました。アクション苦手な人は素直に難易度下げてもいいかも。

 

また、サーヴァントであるセイバーや、場合によっては他のキャラクターを操作する場面もありますが、普段の操作キャラは主人公である伊織となります。

そのためか伊織のアクションは豊富で、弱攻撃と強攻撃だけでも「型」が複数種あったり、アイテム消費の魔術が使えたり、セイバーとの協力技を発動できたりと、色々できることが多く、プレイしていて飽きが来ないようになっています。

型や魔術、セイバーとの協力技等はいずれも、物語の進行や後述するスキル習得等によって増えていきます。(種類多すぎて最後まで使ったことないのもいくつかあるほど)

 

 

 

アクション要素のほか、装備収集にハクスラ要素があったり、能力成長や魔術習得等ができるスキル獲得要素があったりと、育成面でも楽しめる要素が結構あります。

他にも魔術工房の強化とかもあったり。

 

 

 

後は探索要素として江戸の街中を散策して落ちてるアイテムを拾ったり、観光名所を巡ったり、猫や犬と触れ合ったりもできる。

まぁ個人的にこの要素は面倒だったんですが。

ちなみに初期設定のカメラ追跡ONだと街中歩いてるだけでグリグリカメラ動いてめちゃんこ酔うので、ぼくのような三半規管ざこ勢はOFF推奨です。

探索中はミニマップがあったり、ワンボタンで目的地への導線が出てきたりと、迷うことは無いつくりになっています。高札お前は許さんからな。

 

 

あとはあれだ、これ誰が望んでるんだよ!ってタイプのミニゲームもある。最近のファイアーエムブレムによくあるようなやつ。あれ誰が望んでるんだよ!

喧嘩仲裁とか刀手入れとか銅像掘りとかあるけど、これ本当に面白さに繋がってるのか!?コエテクそういうとこある。

 

 

 

最後に、本作には二週目以降があってエンディングも複数あるといった旨のお話をしましたが、周回時は既読箇所を早送りしたり、SKIPで飛ばしたりできるようになっていて且つ、SKIP時に未読箇所がある場合は警告を出してくれるようになっています。

これが本当に便利で、会話イベントだけでなくムービー中でも未読部分があれば警告してくれるようになっているので安心して飛ばしていける。

まぁ戦闘は飛ばせないので、周回も結構時間かかるのは確かなのだけれど。

 

 

 

とまぁネタバレなしで語れるのはこの辺りでしょうか。

正直シナリオ目当てで買ったゲームではあるけれども、ゲームとしても期待以上に面白かったな、という感想です。

 

 

というわけで、ここから先はネタバレありのお話とさせて頂きます。

 

 

 

しばらくネタバレ回避用スペース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

④シナリオ感想(ネタバレあり)

弓使いは空中で逆さにならなきゃいけない定めなの?

 

 

シナリオのネタバレに入る前にちょっとアクション面のお話をしたいのですが、伊織の操作性について、物語が進むにつれて型の解禁や貴石が貯まって魔術を惜しみなく使えるようになってくると、どんどん強くなっている実感が出てくるので、シナリオとの整合性がうまいこと取れているなと思います。

火の型解禁時のイベントが結構よろしくないことやってるのが二週目でわかるのすき。

空の型とか完全に人間辞めてる動きしてますからね。

 

スキル習得が整ってくると地の型はカウンターめちゃ便利だし、水の型は敵ずっとスローモーションにできるし、風の型は気軽に怪異の隙作れるし、火の型と空の型はゴリゴリにゴリ押せるしで、どれも明確に強みがあるので使ってて楽しいキャラ。

 

逆に伊織が強すぎて他のサーヴァント操作させられる時に物足りなさを感じてしまうほどになってくる。ランサーとかアサシンとかは特に使いづらさが顕著じゃないか!?

まぁでも始めてランサー使えるシーンはうおっ!てなりました。今作のジャンヌは用語集でも明確に弱体化してる旨が語られているので、多少弱いのは仕方ないのかも。

いやアサシンは設定上だいぶ強いはずじゃないか!?

 

正直アサシンよりもドロテア・コイエットさん使いたかったな。

かわいい。

 

 

 

 

では改めてシナリオの話に移ろうと思いますが、冒頭で述べた通り本作は「ファイアーエムブレム風花雪月」のシナリオライター陣が手掛けているとして公式で喧伝されているわけですが、風花雪月は感情を揺さぶる展開と、やり過ぎってくらいの会話差分と、キャラクターのバックボーンがしっかりしている点等から、シナリオが非常に好評であった作品です。

ただ、細かい部分は雑だったりツッコミどころがあったりする面のある作品でもあります。

 

それらは本作サムライレムナントでも良くも悪くも受け継がれており、終わってみれば良い読了感ではあるものの、ツッコミどころは正直あります。

特にお前のことだぞアサシン

がんばって好意的に捉えるなら、盈月がまがい物であることに察しがついて、気に入ったマスターであるドロテアが盈月の儀の勝敗に関わらずやっていけるか試したかったみたいな感じか…?

それにしたって無理ゲー強いらせすぎだろ!!

 

 

あとアーチャーの退場もちょっと思うところがあるというか、物語が大きく動く洗脳魔術周辺に気になりポイントがいくつかある辺り、風花雪月で先生が5年間行方不明になる流れをちょっと感じた。

まぁでもその洗脳魔術行使した土御門も、単なる悪人じゃなくて一族や弟のことを本気で考えてる人間だってのが分かるのも、このシナリオライター陣らしさを感じる面でもある。

兄弟姉妹の拗らせ愛情が好きなのでこの辺は結構好みのやつ。

 

 

 

後は地右衛門ね。これ絶対シナリオライターの性癖だと思うんすよね。幼い頃に家族を殺されて復讐に人生を費やす男が。

 

そしてその男に尽くす従者がさ……シナリオライターの性癖なんじゃないですか!?

 

 

 

地右衛門ルート見たの二週目だったんですが、一週目から見られるエンディングとしてはこっちの方が好きです。

本作はエンディング後の世界が語られないタイプのゲームなので、鄭成功ルートの良い感じの大団円系よりも、地右衛門ルートの絶妙な後味の方が仕事するように思う。

同じ空に手を伸ばす最後なのに後味に差があり過ぎる。

 

 

 

まぁでもやはり本作において最も琴線に触れたのは二週目以降限定の剣鬼伊織ルートになりますね。

一週目では修行シーンだと思ってたのに二週目で急にホラーになるな。

初周を終えて二週目ちょっと面倒だな~と思ってたのに、ここで先が早く見た過ぎて三週駆け抜けてしまったくらいにはゾクゾクした。

 

 

主人公である宮本伊織という男の人間性が二週目で180度ひっくり返るのはなんかもう、ほんとにすごいなと思う。

一週目からあったセリフも見返してみると結構その片鱗があるというか、人を救うのは感情的な話ではなく「そうすることが善であり、人への共感のための行為」でしかないのが分かってしまう叙述トリック

 

 

Fate本編の主人公である衛宮士郎も、サムライレムナントの主人公である宮本伊織も、幼い頃に自分を救った存在に憧れて生きる道を定めてるのは同じなのに、伊織は「自分を救った正義の味方」ではなく「救うために全てを切り伏せた剣」に憧れてしまったっていう士郎との対称性はきっと意図的なんだろうな。

「カヤの存在だけが、辛うじて彼を繋ぎ止めていた。」の文章を見てからシナリオを見返すとまた見え方が変わってくるのが面白い。

 

 

このルートは最後のセイバーとの一騎打ちがさ~~~本当に好きで。

伊織にとっては自分の待ち望んだ戦乱の中での、好敵手との戦いなのに対して、セイバーにとっては生前から望んでいた、漸くできた友を、自らの手で殺すための戦いなのがね、辛すぎる。

この戦いの前のセイバー、伊織を咎めることも、行いを否定することも一切してないんですよね。

理解を深めた友であるからこそ伊織の望みを分かっているし、人々を救ってきた英雄であるからこそ、人に災いをもたらす剣鬼となった伊織を殺さないわけにはいかない。

 

セイバーがあんまりにも報われなさ過ぎて、最後の伊織に寄り添うとこと盈月斬るところで泣いてしまった。

本作のキャッチコピーが「きみの願いを、斬り捨てる。」な辺り、やっぱりこの結末こそがあるべき形なのかな。

 

このエンディングのタイトル「可惜夜に希う」もまた逸品で好きです。

可惜夜…明けてしまうのが惜しい夜。とのことで、伊織とセイバーどちらの目線で見てもまた別の意味に感じられて味のあるタイトル。

友との決別を惜しむセイバーと、心躍る戦いの終わりを惜しむ伊織。希うものもお互い交わらないのが切ない。

 

 

そして盈月が無くなってセイバーが消滅した後に駆けつけてくるカヤの心境も考えるとこっちも辛すぎる。

オープニング最後のシーンはこのエンディング後のカヤなのかな……。

慕っていた兄と仲良くなったセイバーを理由も分からず同時に失った直後だと思うと……。

 

 

というかエンディングを全て見た後のオープニングが味しすぎるよ。

オープニングの歌詞、1番が伊織で2番がセイバーのこと考えちゃう内容になってる気がする。

宮本伊織、本当に良い主人公だった。

 

 

 

⑤まとめ(ネタバレあり)

 

というわけで最後のルートが本当に心に残った作品でした。シナリオライター陣に惹かれてやってシナリオに満足して終わったのでとてもまんぞく。

 

まぁそのシナリオに関しても前述した通り細かいとこで不満はあります。

書いてないとこではオトタチバナヒメ周りの掘り下げが全然なかったことと、OPでやたらかっこよかったギルガメ……若旦那が本編では終始シリアスしてなかったとこあたり。

ここめちゃくちゃかっこいいのに本編の若旦那ずっと高笑いしてる。

 

ま~その辺はDLCでお話来るのかもしれないですね。

追加サーヴァントもいるらしいけど設定的に新キャラは難しいんじゃない?って気もするから、既存キャラの掘り下げにDLC使うのかな~という点もあるので。

 

キャスターも感情移入するようなタイミング無かったからその辺もなんかあるといいけどな~。キャスターの掘り下げがもう少しあればあのルートももうちょっと感情に訴えられる部分があったかも。

 

 

こういった一部キャラの活躍不足感は否めないけれども、各キャラクターの立ち具合はほんとによかったと思います。

その中でもドロテアと正雪先生は結構露骨にstay nightの遠坂とイリヤをイメージしてそうだなって感じた。

しっかり1枚絵もあるし完全に攻略対象じゃん!!な二人。まぁ……伊織くんは……斬ること最優先に考えてるんですけど……

 

剣鬼ルートの正雪先生の失恋感すき。

 

 

 

セイバーはヒロインというかは相棒のような、そんなポジションだったわけだけど、それはそれとして今作のセイバーちょっと強すぎないか。全編通してセイバーが苦戦するシーンって1回も無かったのでは!?強いて言えば洗脳されかけた時か……。

知名度補正があるFate作品において、今作のセイバーが馬鹿強いのは実際納得感がかなり強いわけだけど。神話や歴史に疎くてもまず知ってそうな伝承だし……。

 

 

 

とにかくキャラクターが魅力的なゲームであったことに間違いはないので、今作で終わらずに何か関連作品でも出たりしないかな~みたいなこと考えた後で、いやFGOでそれやりそうだなってなった。

FGOは……やらないかな……ソシャゲを増やしたくないので……

 

まぁまずはDLCですね!だいぶ先になりそうなのでしばらく寝かせてはおきますが、情報を待っておこうと思います。

良いゲームだった!

 

たぶんこれが一番平和なエンディング。